パレードがくるよ

いちばんはじめに想い浮かぶのは、あなたです。
鮎沢郁弥セカンドアルバムは切ない恋の物語。

2015年3月27日発売

全12曲

あの人は同じ瞳 同じ景色を眺む人
あの人は同じ心 同じ言葉を話す人

焦がれるほどに近くなるのに 求めるほどに遠くなるのは
それほどに背中合わせだから見つめ合えないのでしょうか
いちばんはじめに想い浮かぶ人といえばいつもあなたです
その面影の果ての何処かに我が身が重ね映ります

あの人は同じ瞳 同じ景色を眺む人
あの人は同じ心 同じ言葉を話す人

不確かな予感だけのタイトロープ けれど心は叫ぶアイソトープ
躯の中を巡る血のようにその人は流れてきます
いちばんはじめに想い浮かぶ人といえばいつもあなたです
ひとつの心を分かち合って生まれたふたりなのでしょう

あの人は同じ瞳 同じ景色を眺む人
あの人は同じ心 同じ言葉を話す人
あの人は同じ記憶 同じ時間を紡ぐ人
あの人は同じ世界 同じ誓いを生くる人

あの人は、あの人はいつも心に住まう人

今夜漏らすため息は誰(たれ)誘う吐息ですか
月灯りさえこの身を妬き削ってゆきます
いちばんはじめに想い浮かぶ人があなただから
いついつの日もあなただから魅かれてしまうのです

あの人は同じ瞳 同じ景色を眺む人
あの人は同じ心 同じ言葉を話す人
あの人は同じ記憶 同じ時間を紡ぐ人
あの人は同じ世界 同じ誓いを生くる人

あの人は、あの人は我が魂の片割れたる
あの人は同じ命 同じ願いを祈る人
あの人は同じ定め 同じ瞳を宿す人

春待ち坂のてっぺんで君が僕を呼ぶよ
冬の名残る北風がまだ頬っぺたに冷たいね
この急な坂をいっぺんに登りたいけれど
今の僕じゃまだそんな大人とはいえないね

春待ち坂のてっぺんで僕は君を抱くよ
雪が溶けたお祝いの便りを腕にたずさえ
力の限りいっぱいに呼ぶ声のもとへ
耳をすませて登るよ きこえる先を信じて

口ずさむメロディ うたを力にして
長く遠い道を一歩ずつ踏みしめたら

君を抱いて、抱きしめて 今すぐにこの坂を
登りつめたいけれど
君の声はまだはるか 夢よりも向こうだね
それでも登るよ

つぶやいたポエジー 言葉を頼りにして
長く続く坂に足跡を刻んだなら

君を抱いて、抱きしめて 君だけをただ想い
この坂のてっぺんへ
いつかそこへ その場所へ たどり着けあと少し
呼んでる春待ち坂

君を抱いて 抱きしめて ほらごらんあの坂で
待ち人が微笑むよ
いつかその日 その時に 君を抱く力を
与えてください

僕は登る ひたすらに 脇目さえふりもせず
ゆっくりだけど強く
春風よ吹きぬけろ 想いを乗せてゆけ
君の待つそこへ

時には求められることも良いのかもね だって楽じゃない
云いきかせてみれば まんざら嫌いじゃない 無理もなくて
好かれてみれば

わりとその気になれるもの 追わなくても平気になれるもの

沈んだ霧の動かぬ朝の湖畔にて
宿り木にもたれかかり待つ逢瀬

求めているうちは多分つらいかもね だって痛むでしょ
想いこめばそれも甘いと感じるの けれどそれは
毒薬だから

過ごす時間の包帯にくるまれて痛みを消す薬

揺蕩うことも叶わぬ澄んだ湖畔にて
傷ついてたどり着いて ここで出逢った
流れることを忘れた死んだ時間なら
心を見せていいかも… 少しずるいね

目覚めた時に誰か傍に居れば
溺れなくてすみそうで
あゝ それでも溺れてと願われるなら
その胸にすがらせてね 救われるから

今は煩わないままに 約束をしないのが約束ね

微かな葉影も揺れぬ湖畔の浅瀬にて
今日の夜さえも知れぬ指を絡めた
寂寞たる湖畔にて好きになった人
あなたはここの出口をまだ知らないの

誰そ彼は未だ暮れない
夏に慕う人はいつでもそう
心は白夜の明るさで
終わりそうで終わらないまま

今夜 想いを告げられて
細波の硝子が軋みます
募る苦しさがわかれば
受け取れない理由がありません

このまま寄りかかってしまいそうで
今、この手を繋いでしまえば
誰かが傷つく罪を負うのかも
返す言葉を決めるのが怖い

盲いた心は紅
闇が影を嘘つきにさせるの

今度きた夏はどこか儚げで
冷めた淡い色のエチュード
葉桜になったあとにきておいて
素直に笑えなんて無理ね

掠れるように終わるでしょう
けれど夏の夜には待たされて
いつまでも去ってくれない
それが長い夏の誰そ彼

その微笑み、もの知りげな微笑み
閉め忘れた扉の泣き声
同じように真似をした微笑み
開け忘れた便箋みたい

本当は何故だか心在らずの貴女が何処か気がかりさ

この微笑み、もの欲しげな微笑み
膨れてゆく白紙の手帳
さりげなく逸らした時の微笑み
痩せてゆくランプの灯みたい

本音は何時でも離したくない けれども崩れてしまうから
それでも知って欲しいと何度もベルを鳴らすのに

笑ってよ、笑ってよ 素直に笑ってよ
覗けば唄うオルゴールみたいに
笑ってよ、笑ってよ 心で笑ってよ
はじめてつける口紅みたいに

目が合う時なら信じていいよね

笑ってよ、笑ってよ 気のまま笑ってよ
小慣れたジャズのギブソンみたいに
笑ってよ、笑ってよ 飾らず笑ってよ
変哲もない窓際みたいに

目が合う時なら信じていいかな
見つめた時なら抱いてもいいよね

何故だか心在らずの貴女が何時も気がかりさ

潮どきくらいは知っているの
どこまでいったら戻れなくなるなんて

平方根の距離 動けなくて
縛られた想いにどれだけ時を捨てた
大人になったと耽った日に
ふたりきりの夜の孤独の味を覚えた

あなただけがすべてじゃない あれは遠い昔のこと
忘れさせて 確かめさせて 何も残らないほど

会いたいの、これから会える?
いつもの場所で待っているから
すぐに来て 今すぐに来て
いつもみたいに気持ちを満たして、もっと

投げやりに撓んだ嘘を信じたあなたも共犯者
真実を知るのはくちびる

引き返せると思ってた だから素直でいられた
目の前で今 抱き寄せた人 この人も同じね

会いたいの、これから会える?
いつもの場所で待っているから
すぐに来て 今すぐに来て
いつもみたいに気持ちを満たして、もっと

今、会える? 今すぐ会える?
間に合わなかったら悲劇ね
だから来て 迷わずに来て
ふたりの時に嘘はないから、ほんと

傷口の蜜をあげる これであなたは証言者
堕ちぶれて離せないくちびる

いつもの場所で待ち合わせをして
いろんな時を重ねてきたね
ただそれだけで悪くないなら
たぶん明日は今日と同じだろう

大事なことを語りたくても
話を逸らす君は上手(うわて)だね
ただ逸らすなら悪くないけど
閉ざしてるよね

いつも君を見つづけてきた
だからいろいろ分かってしまうよ
何気ない横顔の向こうでは
無くせないものをしまってるよね

扉の前で立ち話をして
見せる笑顔は真実なのに
別れ際の部屋の向こうには
誰かいるよね

抱きかえす腕の強さから すれ違う隙間に吹く秋風が

チェルシー・チェルシー 秘めごとは
チェルシー・チェルシー さりげなく
閉じた瞳がもらしてるよ

チェルシー・チェルシー 打ち明けて
チェルシー・チェルシー それだけで
今よりきっと近くなれるのに

壊しそうで知らないふり それで今日が続くのなら
「また明日」と手は振るけど 瞳はまた よそ行きのまま

チェルシー・チェルシー トランクを
チェルシー・チェルシー 抱く君は
どこかへいつか立ち去りそうで

チェルシー・チェルシー 悩ませる
チェルシー・チェルシー 秘めごとは
僕が消してあげたいけれど…

花売りの季節 街は踊るパレード
捜してみせてよ はやく、はやく
宵に捨てられて泣かされたぶんだけは
取り返させてもらうからね

ずっと一緒だと気安く思ってた
奇麗に咲いたのは九月
見初められ買われて窓辺で笑ってた
それだけでいられた九月

ねだられるまま咲いてみせたのに

いつかは萎れると分かっていたけれど
怖くなったのも九月
あれほど囁いた言葉が減ってゆく
遠くなったのも九月

涸れた花瓶でまだ咲いているじゃない
ねえ、ほら振り向いてよ ごらん、奇麗でしょ
どうして何も云ってくれないの

色づいた舗道 冬になればまたどうせ
すぐに淋しくなるくせに いつも
花売りの季節 今度は何度めなの
近づける慣れた口許

花は見られて花だと呼べるもの
枯らして捨てたでしょ、なんて酷いひとだ
謝るより先に悔やんでよ

花売りの季節 自堕落が誘う街
見つけてほしいの はやく、はやく
気づいて貰えたその日だけは特別に
素敵に優しいけれど、そうね優しさが罠だった

西はもうすぐ明日ね テラスは続く熱帯夜
醒めない気持ちの酔いを抜くには
もう少しだけ昨日にいさせて 異国の下でただひとり

乱れた夜会に疲れて散らかる抜け殻たち
先にわたしが逃げたのかしら
不思議なくらい泪があふれてアジアンティーに落ちました

河よ、たなびく河面よ 旅行く船は流せても
十重に二十重に映る おぼろな月は流れないわ

頬をつたってカップの底 想い出が沈んでゆくから
琥珀の苦さは呑み干せないわ… 泣けてくるから

震う弓の音色が むせぶ月にうたう
西も明日になったと なぐさめ諭す子守唄を

河よ、さざめく河面よ 旅立つ船はいずこへ
はるか海を越えても あまりに好きで泣けてきます

泣けてきます、あまりに好きで

我がもとに帰れよ太陽

太陽が逃げた日に木枯らしが ため息ひとつ吹き抜けた
割れた硝子が斬りつけるように口笛が舞う乾いた空

冷たい寒空に凍てるはずの心も
氷らないのはまだ温もりが消えていないからだろう
枯れ葉を落とすように割り切られる人なら
思い出もすべてここに氷らせて打ち砕いていたろうに

太陽が逃げた日に木枯らしが ため息ひとつ吹き抜けた
割れた硝子が斬りつけるように口笛が舞う乾いた空

かじかむ指先をあたためる白い息
それでも震えるのは心が冷えきっているからだろう
冷たく浮かぶのは悲しげな月明かり
あの片影に似た光りでは何も溶かせないだろうに

太陽が逃げた日に木枯らしが ため息ひとつ吹き抜けた
割れた硝子が斬りつけるように口笛が舞う乾いた空
太陽を追いかけて手をのばし 枯れた指がすり抜けた
夕暮れの去り際の金色よ 我が空に戻れよ太陽

もう忘れたなんて嘘をついて人は夜に溺れるのだろう
火遊びの噂を風に流し わざと身体を冷やすのだろう
焦す熱い火なんて欲しくない 太陽を、太陽を…
太陽が逃げたあとオリオンが口笛を吹く乾いた空
泣いた空、凪いだ空

秋を残したままでは
冬と仲良しになれません
冬を越えた人ならば
きっと春に好かれるでしょう

そういつまでも冷たいままじゃない
名残り雪を照らす陽射しを見上げ 春を待とうか

ありがとう、大好きな人
うららかな光の似合う人
あなたのおかげで僕は
笑うことを思い出せたよ

ああまだどこか あなたの面影が
映る凍りも消えて そして元通り またひとりきり

時は流れるだけで誰も待たない、あの人も
まばたきごとに遠く引き離してゆく、忘れるまで
立ち留ったままでは追いつかれるよ、また昔に
今ふり向いてしまうと また帰れないよ、永い冬から

冬のおわりに魔法が解けた

もうサヨナラと手離すつもりなら
涙ひとつさえも残さず捨てる覚悟がいるね

黄砂が迎えにきて天へと返す、想い出を
あの人が本当に行くべき場所へ行けますように
春に好かれる人は明日を見てる人でしょう
だから僕の春は僕に気づかない、いつもいつも

冬のおわりに魔法が解けた
これで最後の魔法が解けた

陽の暮れる街を雨音がたたく
不意な雨 傘なんて持ちもしないだろうに
灰色に濡れた空を仰ぎながら
今 誰の傘を待つ人なのあなたは

お願いさ Rain boots 導いておくれ
雨の道に惑いためらう心を
窓の外は Rainy blue 何度も振り返る
もう迎えになんて行けはしないのに

もう帰れたのかな まだ待ってるのかな
想うほど今すぐに声がききたい

こたえてよ Gray sky もうすぐ夜がきたら
また想わせぶりに明日を話すでしょ
おしえてよ Silent night もう関わりないの?
眠りに落ちる前に答えをきかせてよ

追憶はアンブレラ 雨の雫に洗われて
古きあの日はいつもきれいなまま
雨だれに案じれば、なんてひとりと感じるの
だから心の熱を奪う雨は嫌い

誰の待つ家路を帰る人なの あなた
傘が泳ぐ街は雨の別世界
誰の傘に抱かれ去る人なの あなた
もう知ろうとしてはいけないけれど

お願いさ Rain boots 連れていっておくれ
雨の道を渡り あの人のもとへ
せめて一度 Dream for two ふたりで歩く街を
夢見疲れる前に好きだと云ってよ

Copyright (C) 2015 L’enfant d’étoir. All rights reserved.

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