銀の弾丸, ナイチンゲール

『傷が激しく痛いのは そうだ生きているからだ』 鮎沢郁弥6年ぶり5枚目のアルバムで紡がれる「いのち」の讃歌! 2023年4月5日発売 全14曲

名を呼べ希望の天使の名を



銀の弾丸の名のもと つどえ証を掲げ

悲哀の野を越えてゆけ 涙を拭う前に

受難を告げる早鐘が 冷えた聖堂に響けば
来たる傷手の人のため ランプに灯が点る


啜り泣きの戦場は 見渡す限りの赤と黒

滲む血に翳すこの手に 力を与え給え

行く水過ぐ果敢無さで 震う生命の花よ

銀の弾丸の名にかけ 明日のために戦え

今は泣くな おまえより泣くべき人がここに居て

一縷の光をただ縋り祈る声があるだろう

生きることに食い縛り どこまでも続く夜と霧

この日のためと備えてきた おまえの業に託す

歌声高らかにして踏み締める大地には

銀の弾丸の名に立つ風の奇跡が起こる



銀の弾丸の名を呼べ

銀の弾丸の名がため使命に仕え果たせ

我ら戴くディアコネスの灯 絶やすことなく燃やして

傷が激しく痛いのは そうだ生きているからだ

苦しみの崖を登るたび包帯のブーケを掛けよう

呼ばわる声を聞く者よ 今こそ光を照らせ

悲歎の野に咲く花の救いの遂げるまで



銀の弾丸に口づけを
銀の弾丸の名にかけ 天使の務めを果たせ

幾億ひしめいて僕らは狙いすまして発射を待つ


スタートライン辿り着けよ誰よりも先に
目指すは未知なる世界

神秘のらせん模様を描いて 僕は泳ぐよ波打ちながら
遥か遠くに見える惑星は 青いゆりかご 手招きするよ

すすめ生き残るため 誰よりも速く
新たな生命を勝ち獲れ

常春の国に恋の嵐が吹き乱れれば綿毛が舞い立つ

大空の無限の広がりへと誘う便りが届く季節に

等しく守られながら育てられた仲間たちは
今日から熱いライバルさ

混ざり合うふたつの愛が 僕らを導いてくれる
悦びの号砲が撃ち鳴らされて 聖なる旅路の幕が上がる

幾億とびだした僕らは 慈愛の泪を胸に湛えて

サリエルのミッションが天下る 癒せよ荒野を花咲く園へ

原子の網に包まれた 恍惚と不安を宿し

原初の海の臨界を 力の限り僕らは泳ぐ

数多なる万物の太陽の御子のために

恋をしたんだ 愛おしすぎて
どうしたのだろう 涙が伝うよ

こんな美しい君の世界へ
抱き合うように溶けてゆけたら

ねえ、踊りませんか そう、素敵なワルツで

今、照れくさそうに絡まる指が生命の灯を燈す

あゝ宇宙の渦に あゝ巻かれながら

君という引力に掴まえられた僕は流星さ

あゝ大地の歌に あゝ迎えられて
そして
ひとりになった ふたつの心で もう一度出会おう

恋をするために 愛を知るために
きっと、きっと

降り立つ地上の大気は
雨と森と土の薫りに やさしく揺れる
どんな願いも花と咲かせて
抱かれたままで枯れてゆきたい

月は雪を照らし 雁は海を渡る

そんなゆるやかに移ろう時を 共に紡ぐために

あゝ結び目にそっと あゝ口づけをして

僕は君へと向けた祈りとなって 空に虹を描くよ

あゝなんて美しい あゝあなたの地球(ほし)

ここで ひとつの心で ふたりになって もっと好きになろう

恋をするたびに 愛を知るほどに
深く、深く

落ちてゆく身体は 真っ逆さまに凍りついて
奇跡の進入角でオールトの雲を突き抜ける
さらば黄泉よ、永遠にはもう飽き々々さ
怒りも哀しみも そして悦びもあるここが

懐かしい故郷 いつも見てた
風そよぐ大地は 憧れのシャングリラ

堕ちてくる天使の翼はすでに燃え尽きて
灼熱の摩擦熱が爪を立てて肺を焼く
神の目は逃れられぬ理だろう
のしかかる気圧と重力に心が迅る

宿れシオンの炎 湧きたつ子宮に
灯れ生命の炎 情熱の紅い火を

荒ぶ空よ あなたの丘に受胎して 美しく穢れたい

うたえシオンの歌を 帰還の宴に
おどれシオンの魂 舞い降りた堕天使と

限りある形あるものと産まれて 罪も罰も注ぐ盃と共に
深い闇を照らす受難の燈明に 導かれ這い出ろ外へ

満つる潮(うしお)は臨み来ませり
空蝉讃ふれば吾子は月に吠えらむ
久しき月に宿らむ

滾れ歓喜の炎 母性のみなもとで
燃えろ生命の炎 清らかな紅い火で
うたえシオンの歌を 宵を越して
おどれシオンの魂 おまえの故郷だ

ひとりぼっちのナイティ 泣きたい夜は
ためらわないで わたしを呼んで
夜に沈んだ鳥よ その指先の
向こうでいつも待ってます

『寄る辺もない世界に生まれ堕ちて
今夜、僕は何処へ帰ればいいの?
クベースっていうロケットに乗せられ
なんだか僕は何処か違うみたい

こんな大きな宇宙の片隅に
なんて小さな迷子が独り
窓の向こうで誰かが見つめてる
もう人を泣かせてしまったみたい』

どうかあなた、そんな悲しい理解をしないで
胸の音が聞こえるでしょ そうよあなたは、いのち

ひとりぼっちのナイティ 苦しい夜は
ためらわないで わたしを呼んで
いつもそばで看てるから

『しょせんは旅人 僕はエトランジュ
なのに人恋しさが募るのは何故?
笑い声のきこえる部屋明かりに
まだ迎えてはくれないみたい』

そうねあなた、 今はとても傷ついてるから
助けたくて 守りたくて みんな集まってきたのです

ひとりぼっちのナイティ うつむく夜も
ためらわないで わたしを呼んで
夜に溺れた鳥よ その指先の
向こうでいつでも待ってます

『メーデー・メーデー 痛いよ
メーデー・メーデー 身体が闇(くらがり)に溶けてしまいそうさ、
怖いよ…』

ひとりぼっちのナイティ 怖がらないで
わたしを呼んで隣にいるから
いつかここを出たら お話ししましょ
目と目を合わせ この地上(ほし)で

静寂の帳はいつも夜に破られて
救いを請う叫びの狼煙が夜空を縫う
さあ急げ、急げ 死神は待ってくれない
立ち向かえ 呼吸がある限り抗い続けろ

そして今、
ツーイの針で留められたカナリアが運ばれてきて
歌を無くすのが怖いよと涙を流した

滾れリンゲル 駆け巡れ
天使の手並を見せてくれ

希望と絶望 ふたつにひとつ 決めて選べ
すすんで名乗った おまえは誰だ それが答えだ
さあ走れ、走れ 使命が待っているだろう
立ち上がれ 鼓動がある限り 守り続けろ

そうだこれは、
力尽きかけた世界への祈りという名の戦いだ
忍び寄る敵はアシデミア 地球が危ない!

滾れリンゲル 駆け巡れ
天使の決意を見せてくれ
ゆくぞリンゲル 仕留めてくれ
胸のひと打ちを鳴らしてくれ
意地のひと打ちを聞かせてくれ

滾れリンゲル 駆け巡れ
天使の覚悟を見せてくれ
まだおまえには やれることが
残されていると信じている
おまえの力を見せてくれ

仰ぐ瞳に煌く 結い付けた火は
廻り継がれた妙なる貴人(あてびと)の願いの火

夜明けのすみれ色が朝の馨り運ぶ頃
嵐に耐えた小舟は やっと港に繋がれ眠るのです

授かったこの姿 ひとり鏡に映した
生いる羽根の軽さと 背負う使命の重さに
誓うのです

揺らめく焔に照らされた 居並ぶ幼き顔よ
愛が故と答え見出し どうか御魂使いませ

分け与う願いの火は 一筋の糸となって
明日へと託かる時
闇夜照らす星が詩人の血の滴となれば
愛が故の御業磨き 胸に火は戴く

砂の城が波に溺れてゆく
そんな時にあなたと出会った
宿す光 よく似た瞳の灯
けれど違う わたしの火とは

血潮産めぬ身の憐れを
医すため来たというなら
胸の奥の天秤座よ
こたえて あの人は誰?

眠る城の鍵を合わすように
わたしたちは ぬくもり確かめ
惹かれ伝う救いの体温は
なのに違う ひとつになれない

穢れてゆく川を越えて
届けられた血漿
清浄なる異邦人よ
わたしを目覚めさせて

純血は生きる汚穢を与え
純血は死を清冽へ雪ぐ
もしも招かれざる客と裁かれたのならば
殺めなければいけない あなたを
同一性(ホメオ)の名のもとに

生きる、生きる、その意味を教えて
漂うだけのエトスの海の
砂の城が波に沈んでゆく
(鍵を開けて ひとつになって)
崩れてゆく わたしの城
( 生きるために 城に迎えて)

今、純血を捨ててわたしは
生きることをえらんだ
澄んだ空気と やわらかな日差し
駆け出す あなたのもとへ

我、神に問い給う この閉じ込められた
辺獄は肉体か柩なのか
黄昏の彼岸は斑らに久しく
死せざるも生かざるもない世界

消えぬわたしは夢のうち蝶になり
目覚めと共に動かぬ石になる

ラザロ、ラザロよ…
在そがる闇に誰の声を聞いたのか
アケローンを渡れず、パプテスマにも逸れて
それでもと伸ばす手が虚空を掴む

あゝ地上の種となり いつか芽吹く筈と
待ち続け凍る土の下で死を死ねぬ死に踠き

祈るわたしは失意の園に在り
儚い希望の兆しを探す者

胸を響きわたる高らかな鐘の音は止まぬままに
コギトよへベルの琥珀の中で薔薇となれ

今、鼓動は存在とその意味を嗤う
キリエ・エレイソン
輪廻の蛇に呑みこまれた
絶望の繭たるわたしは、

癒えぬ墓標の胎盤に囚われて
外の世界を黙って見上げる

空(くう)は欲望も失望も総てを映し出す鏡
記せ、ラザロの奇跡はいつもここにある

なだらかに下る坂道の最後のプラトーを越えて
小さなあなたを連れてゆく 杜へと
交わす言葉のあたたかさと 抱く身体の冷ややかさ
看取の技だと誰かが呟いた

想い出 途に絶える時は人を待たない
あなたと歩いた旅も
ふりむく夕暮れは茜に長い影
杜へなんて行きたくはないのに…

名残る時間はせめて笑顔で歩きましょうね

雨が胸を打ちつける 打ちつける杭のように
小さなあなたは 見送られここに
土は土へ、灰は灰へ ひとすくい、ひとすくい
看取の技だといくら学べども

わたしは生きる人 花や鳥と生きる
生としものの世界の
だからここから先は一緒には行けない
ここまであなたを連れてきたのに…

あなたの生まれる前の道を昇ってゆくの

あゝ無力の力で帰ってゆくの

瀬々らぐ川音 眠り誘う なんて穏やかな冷たさ
流れ流れて血潮へ下る
浮かぶ風船 腕へと繋がる なんて見慣れない景色
揺られ揺られて空へ昇る

まどろみの雲を抜け
こぼれ伝う滴は忘却(レーテー)の河へ

ホリゾン… はるかな地平へ旅立つ迎えの船出

寄せて返して 呼吸の波は
脈打つ銀河の鼓動と混ざり合って
あゝ注がれるわたしの肉体(ソーマ)に

ホリゾン… 眠り訪い 無痛の泉の滸にて

オー・テオ・テ・ム・ドーセ・ム・エーナ・オーネイロ
(おお神よ、わたしに夢を与え給え)

おお、空は晴れ渡り
白いシーツの列が眩しくはためくよ
イッツ・ア・ファイン・デイ!
涙雨のあとは どうぞ僕を、僕を使って

洗おう、洗おう さあ全部きれいに
太陽も風も素敵におあつらえ
かごに山盛りの汚れ物はまとめて
泡立つプールに
スクラバ・ダブ・ダブ 洗い流しましょう

イッツ・ア・ファイン・デイ!

洗おう、洗おう さあ出番がきたよ
ブラシにバケツ、タオルも忘れるな
シャボン玉がとぶよ 涙も汗も包んで
天まで届くよ
スクラバ・ダブ・ダブ 天使たちを産むよ

今日も

おお、空はジャパニーズ・スカイ
着てるものを何もかも脱ぎ捨てたら
そうさ、どんなしつこい穢れさえも お任せあれ

生まれたばかりの姿で
みんなで背中を輪になって洗おう
スクラバ・ダブ・ダブ 翼が生える祈りを込めれば

雲は裂け光の矢が谷の闇を砕くよ
洗え! 洗え!

そっとやさしく労って流せば
身体から心から重たさが消えるよ
悩める終生も 傷ましかり宿世も
洗って、洗って
笑い声で仕上げましょう ビューティフル・ホワイト!

空に陽射しがあふれ 石けんのワルツが風にのるよ
スクラバ・ダブ・ダブ

若草薫るゆりかごは そよ風とたまゆらに
僕は役目を果たし終えて すり減って消えてゆく さだめ

わたしのささやく声がきこえますか
いつもそっと寄り添って呼びかけているのです
生きて痛む心の添え木となり
穏やかな夜を壊さないように

銀の弾丸よ、届けあなたの傷に
流れた血を洗うのが わたしたちの仕事です

ずっとそばで語ってきたのです
The silver bullets and the nightingales’ song.
眠り誘うハーモニー

やさしく撫でるハープが波のように
悲しみも、口惜しみも包んでゆくのです
明日には明日の痛みがあるけれど
ささやかな祈りはこの瓶(バイアル)の中

銀の弾丸よ、届けあなたの傷に
流れた血を洗うのが わたしたちの仕事です

ひとつひとつ大事に込めました
The silver bullets and the nightingales’ song.
あなたが支えです

吹きつける嵐は今日も窓を叩きつけて
燃え尽きる希望になぐさめの灯は消えそう
だけど信じて会いにゆくのです
笑顔ひとつのために

銀の弾丸よ、届けあなたの傷に
流れた血を洗うのが わたしたちの仕事です
銀の弾丸よ、届け地上の傷に
流した血を拭うのが わたしたちの務めです

今夜巣立った鳥は花となり
The silver bullets and the nightingales’ song.
部屋を飾るでしょう

ささやきは歌となって 天を染めるハーモニー

ダーリン、ダーリン 呼び合って
伸ばした指が遠くすり抜けた 引き裂かれて胸が痛むよ
見初めて離れて旅に出た
半分だけの翼をまとって故郷へ帰ろう

深い夜を渡る恋人たちよ
忘れないで交わした約束を

見つめて、惹かれて想い出す
出逢った時の高鳴る気持ちを ただ信じ握りしめて
ダーリン、ダーリン 会いたいよ
半分だけのふたりの未来 祈りで重ねよう

たとえ今は こわれものに見えても
同じ光を分け合った灯りさ
白む朝へ歩く恋人たちよ
忘れないで交わした約束を

真白な羽根を縫い合わせましょう
結んだ糸は 何処にもありそうな ただの恋の歌

やがていつか 君も巡り逢うだろう
半分だけの魂の片割れに
そしてその時 こっそり教えるのさ
「どうか気づいて、そうさこの人だよ」と

青い空の羊を追うふたりは
丘の向こうへ手を繋ぎ駆けてゆく
世界中で天使の夢が叶う
この歓びを恋と呼ぶのでしょう

優しい歌を口ずさみましょう
遠回りして キスして分かり合った ただの恋ごころ

Copyright (C) 2023 L’enfant d’étoir. All rights reserved.

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